保育ICTシステム導入におけるメリット・デメリットとは?

保育士の業務負担の軽減や効率化を図るため、国や自治体からは保育所、幼稚園、保育等のサービス業を対象とした保育ICT導入に対しての補助金が交付されています。本ページでは、ICT補助金の概要と具体例、対象となるシステムを紹介します。

保育ICTシステムとは

保育ICTシステムとは、インターネットやアプリケーションなどを活用して、保育士の日々の業務を効率化し、負担を軽減を図ることができるシステムのことです。

保育士の業務量の多さ、労働時間の長さが問題視されており、業務改善を目的に保育ICTシステムが開発されました。

保育士が行う日誌や連絡帳などの書類作成、保育料の請求などの事務作業を円滑に行えるようサポートしてくれます。

保育ICTシステムでできること

では、具体的に保育ICTシステムではなにができるのでしょうか?
保育ICTシステムが対応している代表的な機能を紹介します。

  • 写真販売

保育者が撮影した写真を簡単に保護者に販売できる機能です。決済や印刷、発送を代行してくれるシステムもあり、保育者が行うのは撮影した写真を公開するのみとなります。

  • 登降園管理

園児の登降園時間を自動で記録できる機能です。園児毎の保育時間や延長保育時間を自動で算出できたり、各書類に自動で反映できたりするため、計算や転記の作業が必要なくなります。

  • 職員のシフト作成、管理

職員の勤務シフトを作成できる機能です。登園予定の園児数に合わせて職員配置を行えたり、早番・中番・遅番などもバランスよく平等に作成してくれる機能も。また、組みあがったシフト表において、職員数が配置基準を満たしているかチェックしてくれる場合もあります。

  • 保護者との連絡

欠席、遅刻、延長などの連絡をシステム上で行える機能です。その他、連絡帳やお知らせ、緊急連絡も保護者のスマホに配信できます。システムによっては、保護者が確認したかどうかが施設側でわかる場合も。

  • ドキュメンテーション

保育現場での子供の姿を写真や動画、音声や文字などで記録する機能です。視覚的に記録することで、子供の活動を具体的に記録することができ、活動の振り返りから次の活動へ活かすことができます。ドキュメンテーションでの記録を、日誌や連絡帳、週日案などに一括で反映されるシステムもあり、業務効率化にも繋がります。

  • 園バスの運行管理

GPSを活用した園バスの運行状況の管理ができる機能です。保護者と職員が、パソコンや携帯電話からリアルタイムでバスの位置を確認することができます。保護者からのバス不要連絡をシステム上で管理できる機能や、バス到着時にお知らせメール機能があるシステムもあります。

  • 保育料の請求

園児の登降園データを元に、毎月の保育料や延長保育料を自動で計算する機能です。保護者への請求や入金確認、未払金の確認も可能です。

  • 指導案の作成

日々の日誌や発達記録、月案や週日案などの指導案が作成できる機能です。複製機能やテンプレートが用意されていたりと、事務作業の効率化に繋がります。

  • 献立作成

日々の給食の献立を作成・記録し、保護者へ献立配信などができる機能です。園児データと連携し、アレルギー園児の把握や必要な食数を自動計算できる機能も。

  • 発育記録

食事・検温・午睡・排便などの各健康チェックができる機能です。日誌や個人記録と連携し自動反映される機能もあり、転記の必要もありません。

保育ICTシステム導入のメリット

保育ICTシステム導入のメリットについて、園・保育士・保護者それぞれのメリットを紹介します。

園にとってのメリット
保育士の働く環境を改善し、採用促進に

保育士の業務負担を軽減することは、労働環境の改善に繋がります。保育士の採用難の要因の一つとして「業務量の多さ」「労働時間の長さ」があげられますが、保育ICTシステムを導入することでその点が改善され、応募が増える可能性もあります。実際に、東京都が実施した保育士実態調査(※)では、保育ICTシステムを導入している施設で働いている回答者の7割以上が「業務負担の軽減につながっている」と回答していました。
(※ 令和4年度東京都保育士実態調査 報告書より)

保育士にとってのメリット
業務負担を減らし、保育に集中できる時間が確保できる

日々、たくさんの子供たちの保育をするかたわら、連絡帳を書いたり、日誌を作成したり、登降園記録や保育料の計算などの手作業で行う業務が多く、保育士にとって大きな負担となっています。
保育ICTシステムを導入することで、タブレットやパソコンで簡単に記録ができたり、必要な情報が自動計算されることで、保育士の連絡帳や日誌などの手書き作業にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。
事務作業時間が短縮されることにより、時間に余裕ができ、保育に集中することができます。

保護者にとってのメリット
保護者の負担を軽減し、コミュニケーションも円滑に

園からのお知らせをすぐに受け取れたり、欠席や遅刻の連絡もスマートフォンからできるので、利便性が高くなります。また、連絡帳やお知らせに写真が添えられていることで、園での子どもの様子をより詳細に知ることができ、保育士とのコミュニケーションも円滑に行うことができます。

保育ICTシステム導入のメリット

保育ICTシステム導入におけるメリットを紹介しましたが、デメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
保育ICTシステム導入におけるデメリットを2つ紹介します。

インターネット環境を整える必要がある

保育ICTシステムを利用するためにはパソコンやタブレット、インターネット環境が必要です。
すでにインターネット環境がある保育所でも、利用するパソコンやタブレットの台数などによってインターネット回線を強化しなければならない場合もあります。
国や自治体によるシステム導入費やインターネット環境を整備する工事費などの費用を一部助成する補助金制度があるので、初期投資の負担を軽減するため、自治体からの情報を調べてみることをおすすめします。

補助金についての詳細は下記の記事をご覧ください。

保育園のICT補助金はなにがある?種類と対象、申請の流れを紹介

慣れるまでに時間がかかる

パソコンやタブレット、スマートフォンの操作に不慣れな人は、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。
パソコン操作が苦手な人でも簡単に操作できるシステムもあるので、そういったシステムを選ぶとよいですね。
また、システム導入時には研修や勉強会を実施したり、専任の職員を立てて推進するなどするとスムーズに導入できるでしょう。

保育ICTシステム導入を成功させるためのポイント

保育ICTシステムを導入することでできることやメリットが分かっても、実際にうまく使いこなせるのか不安という方もいるでしょう。
やみくもにシステムを導入しても、失敗するリスクもあります。
そうならないために、保育ICTシステム導入を成功させるためのポイントを2つ紹介します。

試験運用を利用し実際に試してみてから決める

多くの保育ICTシステムでは試験運用ができます。
導入前に実際に操作を確認することで、自園でやりたいことができるか、使いこなせそうかを確認することができます。

導入後のサポート体制がしっかりしているシステム会社を選ぶ

導入時にわからないことがあった場合にすぐに確認できるか、施設のやりたいことを実現するために活用方法のアドバイスをしてくれるか、など導入後のサポート体制がしっかりしているシステム会社を選ぶとよいでしょう。

保育ICTシステム導入の進め方

保育ICTを導入し本格的に運用開始するまで、平均で2か月程度かかります。
スムーズに運用開始するためのおおまかな流れは下記の通りです。

  • STEP1:自園での目的、やりたいことを明確にする
  • STEP2:導入する保育ICTシステムを決定、申し込む
  • STEP3:導入の準備・環境整備
  • STEP4:試験運用
  • STEP5:本格運用スタート

当サイトおすすめの保育ICTシステム3選

コドモン

保育ICT園システムの中では全国シェア1位。※人気に裏付けられた使い勝手の良さやリーズナブルな価格設定が魅力。

※サイトに記載

kidsly(キッズリー)

保育園と保護者のコミュニケーションに着目した、連絡帳アプリを中心とした機能が特徴。

チャイルドケアシステム

日本全国の保育園・こども園・幼稚園・学童と幅広く対応できる他、近年増加傾向にある企業主導型保育園の提出書類も対応している為、あらゆる園で利用できる点が魅力。

まとめ

保育ICTシステムの機能やメリットを理解し、自園にあったシステムを利用することで、保育士の業務効率化、労働環境の改善に繋がります。
保育ICTシステム導入までに準備や時間が必要なものの、導入におけるメリットはかなり大きなものです。
自園ではどういう運用・活用ができそうか、まずは保育ICTシステムの事業者に相談してみることをおすすめします。

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