保育士の業務負担の軽減や効率化を図るため、国や自治体からは保育所、幼稚園、保育等のサービス業を対象とした保育ICTシステム導入に対しての補助金が交付されています。
本ページでは、ICT補助金の概要と具体例、対象となる保育ICTシステムを紹介します。
ICT補助金とは?
ICT補助金は、保育園の業務省力化を目的とした保育ICTシステム*の導入を推進するために、導入時にかかる費用の一部を助成する補助金制度です。
国や自治体が実施しており、保育園がある都道府県や自治体により補助内容や補助金額が異なります。そのため、補助金を受けるためには保育園のある自治体に確認のうえ申請をする必要があります。
*保育ICTシステムとは、インターネットやアプリケーションなどを活用して、保育士の日々の業務負担を軽減し、効率化を図ることができるシステムのこと。保育業務支援システムとも呼ばれる。
ICT補助金を活用するメリット
原則として、補助金は返済が不要です。そのため、保育ICT導入にかかる費用の実質負担をおさえることができます。
システム導入費だけではなく、インターネット環境を整備する工事費や、システム保守費用などの諸経費も補助の対象となるなど、利用できる幅が広いこともメリットの一つです。
ICT補助金の種類により金額は異なりますが、補助金額が大きいため、保育ICTシステムの導入を検討されている方は、自施設のある自治体のICT補助金についても合わせて確認しておくとよいでしょう。
補助金の交付にあたっては、自らが該当する補助金制度の有無を調べ、申請する必要があります。
当サイトがおすすめするICT補助金の対象システム3選
コドモン
保育ICT園システムの中では全国シェア1位。※人気に裏付けられた使い勝手の良さやリーズナブルな価格設定が魅力。
※サイトに記載
kidsly(キッズリー)
保育園と保護者のコミュニケーションに着目した、連絡帳アプリを中心とした機能が特徴。
チャイルドケアシステム
日本全国の保育園・こども園・幼稚園・学童と幅広く対応できる他、近年増加傾向にある企業主導型保育園の提出書類も対応している為、あらゆる園で利用できる点が魅力。
ICT補助金の申請の流れ
ICT補助金の交付を受けるには、申請が必要です。
申請に必要な書類等はICT補助金の種類により異なりますが、補助金交付までの大まかな流れはおおむね以下の通りです。
1.自治体に補助金の実施有無などを確認する
2.ICT導入支援事業者、ICTツールを選定する
3.交付申請
4.補助金交付の決定通知発行後、システムの発注、契約、支払いを行う
5.補助金が交付される
※申請に必要な書類や手続きの詳細は、各自治体や補助金のホームページをご確認ください。
補助金の種類
厚生労働省や文部科学省からICT補助金について発表されていますが、具体的な補助金の対象施設や内容は、実施主体である各都道府県・市区町村等に委ねられています。そのため、ここに記載している内容が全ての保育園に適用されるとは限りません。実施しない地域もありますので、詳細は各自治体のホームページ等をご確認ください。
●ICT補助金(厚生労働省/保育所等におけるICT化推進補助金)
保育士等の業務負担を軽減し、働きやすい環境の整備を目的として厚生労働省から交付される、保育の周辺業務や補助業務に係るICT等を活用した業務システムの導入を支援する補助金です。
主体 | 都道府県、市区町村 |
対象 | 認可保育所/小規模保育所(都内の場合は認証を含むこともある) ※企業主導型は対象外 |
補助額 | (1)業務のICT化等を行うためのシステム導入 100万円/1施設 (2)認可外保育施設における機器の導入 20万円/1施設 (3)病児保育事業等の業務(予約・キャンセル等)のICT化を行うためのシステム導入 ①800万円/1自治体②100万円 (4)研修のオンライン化事業:400万円/1自治体 (5)保育士資格取得に係るシステム改修 総額99,640千円のうち令和3年度の各都道府県の受験者数の割合に応じて、それぞれ設定 (6)児童館のICT化を行うためのシステム導入 50万円/1施設 |
補助率 | (1)国:1/2、市区町村:1/4、事業者:1/4 (2)国:1/2、都道府県・市区町村:1/4、事業者:1/4 (3)①国:1/2、市区町村:1/2 ②国:1/2、市区町村:1/4、事業者:1/4 ※(1)~(3)について、地方自治体が運営する施設(*)を対象にする場合は、国:1/2、自治体:1/2 *(1)~(2)は財政力指数が1.0未満の地方自治体が対象。 (4)国:1/2、都道府県・市区町村:1/2 (5)国:1/2、都道府県:1/2 (6)国:1/2、都道府県・市区町村:1/2 |
令和4年度の第2次補正予算確定後、「保育に関する計画・記録」「園児の登園・降園の管理」「保護者との連絡」の3つの機能全てを備えるシステムの導入が補助要件でしたが、3機能のうち必要な機能のみを選択して導入する場合も補助対象とすると、要件が緩和されました。
導入する機能の数に応じた補助基準額とする ※導入する機能の数・端末購入等の有無に関わらず1施設1回限り
・1機能の場合…1施設当たり20万円(併せて端末購入等を行う場合:70万円)
・2機能の場合…1施設当たり40万円(併せて端末購入等を行う場合:90万円)
・3機能の場合…1施設当たり60万円(併せて端末購入等を行う場合:100万円)
引用:令和4年度第2次補正予算 保育関係予算の概要/厚生労働省
参照:保育対策関係予算の概要/厚生労働省
●ICT補助金(文部科学省/園業務改善のためのICT化支援補助)
幼児を健やかにはぐくむために必要な環境整備の推進を目的として、幼稚園等における指導要録の作成や、園児の登降園管理などの園務を行うことのできる保育ICTシステム導入にあたって必要となる費用を支援する補助金です。
主体 | 都道府県 |
対象 | 幼稚園/幼稚園型認定こども園 |
補助額 | 100万円 |
補助率 | 国3/4、事業者1/4 |
●IT導入補助金
中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援する補助金です。
中小企業・小規模事業者等であれば保育園の種別は関係なく申請できますが、資本金や従業員数に制限があるため注意が必要です。
IT導入補助金の通常枠では、ソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)、導入関連費などが補助の対象です。
主体 | 経済産業省 |
対象 | 中小企業の飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、 介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等※保育園の種別問わず |
補助額 | 【通常枠(A・B類型)】 A類型の上限・下限額:5万円~150万円未満 B類型の上限・下限額:150万円~450万円以下 |
補助率 | 経産省1/2 事業者1/2 |
参照:IT導入補助金2023
まとめ
保育業界では保育士の人材確保に向けた取り組みの一つとして、保育業務のICT化が進んでいます。
国や自治体が保育ICTシステムの導入について、さまざまな補助金の交付を行っています。それぞれの制度の内容や違いを理解し、ICT補助金を上手に活用することで、負担を抑えて保育ICTシステムを導入することができます。
必要書類の準備や申請などは、保育ICTシステムを扱う事業者がサポートしてくれるところもありますので、まずは相談してみてはいかがでしょうか?